RIMS-CRMP ストーリー:カーク・アンダーセン

Kirk Andersen

カーク・アンダーセンは日本で初めてRIMS-CRMPを取得した日本在住のリスク専門家です。㈱椿本チエインのグローバルリスク管理者である彼は認証取得に向けた意欲と国内で活躍されているリスク管理者にどのような影響を与えられるか、自身の経験について語ります。

 

なぜ日本に来られたでしょうか? 

現在は㈱椿本チエインに勤めています。当社の国内外子会社を熟知していること、J-SOX(金融商品取引法)の監査・リスク管理活動の改善を支援していること、英語力があることなどから、グローバルリスク管理室に配属されました。(J-SOXは、米国のサーベンス・オクスリー法と同様のもので、財務報告に係る内部統制の評価・監査に関する日本の基準です。)

 

RIMS-CRMPを取得するきっかけは何ですか?

私は新しい部署に異動したことをきっかけに、最善を尽くしたいとの思いから、リスク管理に関する講座を受講したり、書籍などの資料を読んだりして、勉強を始めました。リスク管理の分析的な特質及び幅広い適用性は魅力的で、RIMS-CRMPが会社により多くの利益をもたらすことを理解しました。また、この資格を取得したことで、個人的及び専門的な可能性を高めることに役立つことも知りました。

 

RIMS-CRMPはどのようにして専門的な職歴を高められますか?

日本ではRIMS-CRMPは非常に珍しい認証です。実際、日本では私が唯一の資格保 有者です。ほかの人にもRIMS-CRMPを取得してもらえたら良いと思っています。

他の日本企業や日本で事業を展開するグローバル企業にも、私の実績を知ってもらったら嬉しいです。でも、もっとも重要なことは、RIMS-CRMPはANSI(米国国家規格協会)に認定されているので、専門的経歴を高めることだと思います。日本人がJIS(日本産業規格)を信頼しているように、米国ではANSIに信頼が置かれています。ですから、日本では認証取得者がまだいませんが、RIMS-CRMPは信頼できる貴重なリスクマネジメント認証(リスク管理資格)として認められるようになると思います。

 

RIMS-CRMPを日々のリスク管理業務でどのように活用していますか?

弊社は、リスク管理レベルはまだ「初心者」であると思いますが、RIMS-CRMPを取得して、リスク管理体制や考え方のどこを強化・改善したらいいか理解できるようになったと思います。現在、すでに学んだことを活かして、リスク管理の教育資料を作成し、全社的なリスク知識のレベルアップを図っています。また、RIMS-CRMPの知識を活かして弊社のグローバルリスク評価またはJ-SOX監査のRCM(リスク・コントロール・マトリックス)の改善にも活用していきたいと考えています。

 

リスク管理に関する経験的な知識はRIMS-CRMPの勉強に役立ちましたか?

リスク管理について勉強する前にグローバルリスク管理課に配属されたので、リスク知識はOJTで勉強するしかありませんでした。まるで一か八か(のるかそるか)の状況でした。でも、J-SOX監査と内部統制全般での業務が、リスクに対する分析的な考え方の基礎となり、その後の勉強で、強化・充実されたと言えます。

 

勉強手法は? またおすすめの教材(資料)はありますか?

RIMSのリスク管理体制と手法に関する講座を受けました。また、James Lamの「Enterprise Risk Management」(訳書『戦略的リスク管理入門』)とPaul Hopkinの「Fundamentals of Risk Management」の書籍を読みました。RIMSホームページあるいは他のウェブサイトに掲載されているリスク管理に関する白書などで勉強することをおすすめします。

 

RIMS-CRMPの試験の勉強方法・コツはありますか?

私ができる最善のアドバイスは、できるだけ多くの資料を読んで、自分が社長や取締役の立場だったら「どうやってリスクを管理して経営・業務に価値を創造することできるか?」と考えることだと思います。

 

会社(㈱椿本チエイン)はRIMS-CRMPの取得についてどのように支援されたでしょうか?

会社は、従業員の継続的な教育を支援していて、RIMSのオンライン講座や書籍の費用を助成することでリスクマネジメントの勉強を深めさせてくれました。私自身はRIMS-CRMPを自分の成長のために取得しました。RIMC-CRMPやより欧米的なリスク管理手法を導入することが、会社の目的・目標を達成することに貢献できることを示したいと思います。

 

貴方の日本語や翻訳・通訳での経歴は貴重だと思いますが、リスク管理ではこの言語的な経歴は役立つでしょうか?

言語は文化を反映しています。日本語を流暢にしゃべるから日本社会の思考体系を知ることができ、日本は非常に「リスク回避的」であることが分かりました。そのため、多くの日本企業では「リスクは単に削減・軽減するもの」との考え方が支配的です。他の国に比べて日本では英語がそれほど通じないので、日本語で流暢にしゃべることで必要なことだけでなく、それを心に響くように言えます。私は、新たなグローバルな視点を日本のリスク管理に持ち込みたいと考えています。日本語の流暢さは,それを成功させるために不可欠だと思います。

 

Interview by Justin Smulison, RIMS Business Content Manager